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高森明勅
2024.9.18 10:30皇統問題

自民党総裁選「男系継承」を維持できる具体策を示して欲しい

9月13日に自民党総裁選の立候補者の共同記者会見が行われた。
皇位継承問題を巡るそれぞれの見解も、安全運転ながら示された。

明治以来の「男系男子」尊重でほぼ足並みを揃えていたようだ。
しかし、一夫一婦制で少子化という条件下にあって、
皇位継承資格の「男系男子」限定を維持しながら、
どうやって安定的な皇位の継承と皇室の存続を可能にするのか。
その具体策を語って欲しい。

この問題に関わる憲法の要請は2つ。
1つは「世襲」。

もう1つは、「象徴」としての尊厳と国民からの
自然な敬愛が保たれること。
この両者に応える為の正解は1つしかないはずだ。
側室が不在なのに男系男子限定という前代未聞の
無理なルールを止めて、女性天皇、女系天皇を認めること。
それを避けて、実現可能な方策がもし別にあるならば、
国民の前に示して欲しい。

「悠仁親王殿下次代以降も皇統に属する男系の男子を
前提に議論を深めていく」(茂木敏充氏)という発言から
透けて見えるのは、将来的には旧宮家系子孫だけにこだわらず、
無限大に拡大した意味で「皇統に属する」男系男子を、
国民の中から次々に探し出して来る…というやり方だ。

しかし、それはもはや厳格には「天皇の血統」=皇統による
「世襲」とは言えないし、「象徴」としての超越性や、
国民からの尊敬と信頼も、失われる他ないだろう。

「126代男系で続いてきた皇統をお守り申し上げるのは私達の責任」
(高市早苗氏)、

「126代の皇統は日本の国柄だ。男系男子でつながれてきた
皇統を守っていく」(小林鷹之氏)、

「男系で来た皇室の歴史を踏まえ、しっかりと説得していく」
(加藤勝信氏)

などと言うのであれば、本来の課題である安定的な
皇位継承については白紙回答で、ひたすら目先だけの
皇族数確保を目指す欠陥プランを並べただけの有識者会議報告書に
しがみついていないで、将来への具体策を提示すべきだ。

追記

9月14日、高森稽古照今塾の入門編がスタート。
登録者数は約60名で、殆どが20代·30代だ。
11月迄が入門編で、12月には特別セミナーを準備している。
ハイブリッド開催で会場参加者200名、
オンライン参加者100名を予定している。
塾の中身などについては改めて。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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